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BLOG 未来は今日にある!
作成日:2026/06/01
【BLOG】人事制度の本質を私はこう考える

人事制度の相談を受けるとき、最初に訊ねることがある。「何のために人事制度を作るのですか?」「この制度で、誰を守りたいのですか?」
たいていの場合、少し間があく。「社員のため」「会社のため」という言葉は出てくる。
でも、それが本当に腹の底からの言葉なのか、それとも正解を言おうとしているのか、しばらく話していればわかる。

人事制度は「仕組み」だと思われている。評価の基準をつくり、等級を決め、賃金テーブルを整える。確かにそういう作業ではある。
ただ、ずっと違和感があった。「仕組みを整えれば人が変わる」という前提にどこかおかしいと感じてきた。

制度は、人に「こう動け」とは命令できない。できるのは「こう動きたい」と思える環境をつくること。
ビジョンアライメント型の人事賃金制度を自分でつくろうと思ったのは、既存の制度設計に根本的な何かが欠けていると感じたから。

多くの制度は「どう評価するか」から始まる。能力をどう測るか、成果をどう数値化するか。それ自体は必要な作業だ。
でも、その前に問うべきことがある。この会社は、何のために存在しているのか。そこで働く人に、何を体現してほしいのか。
この問いが曖昧なまま評価基準をつくっても、行き着く先は「管理のための制度」でしかない。人は管理されると、管理される分だけしか動かない。

MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を人事制度に接続する、というと聞こえはいい。ただ実際には、MVVが飾りになっている会社を
何度も見てきた。壁に貼ってある。朝礼で唱和している。しかし評価には関係ない。したがって賃金にも反映されない。
人は、評価されないこと(=意味を感じないこと)を長くは続けられない。

だから制度の設計を「MVVの行動化」から始めることにした。バリューが「誠実さ」であれば、誠実さとはどんな行動として現れるのかを
言語化する。抽象的な言葉を、日常の具体的な場面に落とす。その作業を、経営者だけでなく現場の人間も巻き込んでやる。
なぜなら、言葉は自分たちで定義したときにはじめて”自分ごと”になるからだ。

「制度を変えれば組織が変わる」と聴くことがある。私は順序が逆だと思っている。
組織が何を大切にしているかが明確になったとき、はじめて制度がその器として機能する。制度はツールであって、目的は環境をつくること。
”環境が人を育てる”この順序を間違えると、どれだけ精緻な制度をつくってもノルマや管理の道具にしかならない。

”守りたいもの”がある施策は細部まで本気だ。
私が人事賃金制度にこだわるのは、”守りたいもの”をきちんと持っている経営者のための制度にしたいと思ったからだ。
最後に人事制度は、組織の意思表明(=経営の意思の共有)だと思っている。「何を大切にして、何を評価して、どんな行動を称えるのか」。
それが制度に息を吹き込む。だから制度をつくるとき「どんな仕組みにするか」より先に、「なぜ、人事制度を構築したいと思ったのか」を
粘り強く問う。その答えが出てきたとき、制度設計の時が動き出す。