目標管理制度(MBO)において「目標を数値化するのが難しい」という悩みは、多くの企業が抱える共通の課題です。特に創造的な仕事や長期的な取り組みでは、単純な数字だけでは評価しきれないことも少なくありません。<下記は、定量と定性の意味や特徴>
定量(目標)
- 意味:数値や数量で表せる要素のこと
- 特徴:客観的で、誰が計測しても同じ結果になる
- 意味:数値で表せない性質や質に着目すること
- 特徴:主観的で、解釈や分析によって異なる結果になる
この課題に対処するには、いくつかの実践的な方法があります。直接的な数値化が難しい場合は、「成果物の完成数」「顧客接点数」「お客様からの評価点」また、「処理タスク完了率」「平均処理時間」など、間接的に進捗を示す指標を活用するとよいと思われます。
また、SMART基準の柔軟な適用により、大きな目標に対して具体的な成果指標を複数設定する方法も効果的です。例えば「顧客満足度を高める」という抽象的な目標に対して「問い合わせ対応時間を20%短縮する」「リピート率を5%向上させる」といった具体的な指標を設けることで、進捗を把握しやすくなります。
評価の際には、上司だけでなく同僚や部下、時には顧客からの意見も集める多面的な評価方法を取り入れると、より公平な判断ができます。また、目標設定の段階から社員と管理者が一緒に話し合い、定期的に見直す機会を設けることで、より現実的で効果的な目標管理が可能になります。
目標は「何をどこまでやるのか」「いつまでに達成するのか」「なぜそれが重要なのか」を明確にし、必要に応じて大きな目標を小さな中間目標(マイルストーン)に分けて段階的に評価することも有効です。
抽象的な目標は、ストーリーテリングやケーススタディで、「この取り組みが成功したらどんな状態になるか」を具体的に描写したり、似たような成功事例を参考にしたりすることで、関係者間での共通理解を深めることができます。
そして最も大切なのは、「完璧な測定」よりも「学びと改善」を重視する組織の雰囲気づくりです。失敗も含めた経験から学び、常に改善していく姿勢こそが、長期的な目標管理の成功につながり、持続可能な企業へのアプローチになるはずです。
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(1)SMART基準
目標設定の際に使われる5つの基準のことで、頭文字を取って「SMART」と呼ばれています。
- Specific(具体的):何をするのかが明確である
- Measurable(測定可能):達成度を何らかの形で測れる
- Achievable(達成可能):現実的に達成できる
- Relevant(関連性):会社や部門の目標に関連している
- Time-bound(期限付き):いつまでに達成するかが決まっている
例えば「営業成績を上げる」ではなく「今年度末までに新規顧客を10社獲得する」のような目標設定です。
(2)マイルストーン
大きな目標を達成するまでの中間地点や段階のことです。長い道のりの途中にある「一里塚」のようなもので、進捗を確認するための目印となります。例えば1年間のプロジェクトなら、3ヶ月ごとに達成すべき小さな目標を設定することです。
(3)ストーリーテリング
物語として伝えることで、抽象的な概念や目標を具体的にイメージしやすくする手法です。例えば「顧客満足度向上」という抽象的な目標を、「お客様がどのように喜んでくれるか」「どんな評判が広がるか」などの具体的なストーリーとして描くことで、目指すべき姿が明確になります。