作成日:2025/04/21
【BLOG】経営者に必要な要素と人事労務管理への応用
企業経営において、人事労務管理は非常に重要な側面を占めています。私たちは日々、企業の人事労務面をサポートする中で、経営者の皆様が様々な課題に直面されていることを目の当たりにしています。
今回のBLOGでは、いまの経営において必要とされる要素について、人事労務の専門家の視点から考察したいと思います。経営の本質と人事労務管理の関係性に焦点を当て、皆様の経営にお役立ていただける内容をお届けします。
現代の経営において必要な要素には、以下のような重要なポイントがあると思われます。
1.経営の本質を理解する
- 困難は必然であり、成長のプロセスの一部
経営上の問題が発生することは失敗ではなく、むしろ成長するための必然的なステップです。完璧な経営など存在せず、試行錯誤の連続であることを受け入れることが大切です。人事労務面においても、社員の退職や労務トラブルは完全に避けられるものではなく、それらを通じて組織が成熟していくものと捉えます。
2.明確な価値観と方向性を持つ
- MVV(Mission・Vision・Value)の重要性
組織を動かす原動力となるのが「MVV」です。Mission(なぜその事業をやるのか)、Vision(どこを目指すのか)、Value(何を大切にするのか)が明確であることが重要です。特に、経営者の志(Personal Mission)と組織のミッションが重なったとき、組織は一つの方向に向かって動き始めます。人事制度設計においても、評価基準や採用基準にMVVを反映させることで、一貫性のある組織づくりが可能になります。
3.組織づくりの能力を磨く
- 人材は単なるリソースではなく、共に歩む仲間という認識
経営の現場では「人材は単なるリソースではなく、共に歩む仲間」という視点が重要です。この考え方は、従業員エンゲージメントを高める上で非常に効果的です。人事労務管理においても、単なる「管理」ではなく「共に成長する関係性の構築」という観点が求められています。
- 組織文化の醸成に時間をかける
良い組織文化は一朝一夕には作れません。「文化の醸成には時間がかかる」という認識はとても重要です。これは社労士としても企業の就業規則や人事制度を設計する際に心に留めておくべき視点です。制度を変えても、文化が追いつくまでには相応な時間を要します。
4.実践的な施策を展開する
経営の成功につながる具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 経営トップの言行一致
- オープンなコミュニケーション環境の整備
- 失敗を恐れない挑戦の奨励
- 採用時からの価値観のすり合わせと腹落ち
- 定期的な1on1ミーティングの実施
- 理念(Mission)に基づく行動(Value)評価の導入
こうして経営の知見を挙げてみると、これからの経営者には「困難を恐れず、明確な価値観と意味づけを持ち、組織と共に成長する覚悟と能力」が求められていると感じます。人事労務管理の視点からも法令遵守や仕事の効率化だけではなく、急激な人手不足とともに「人と組織の成長」「働く意味の共有」「文化の醸成」といった要素が今後ますます重要になっていくものと考えられます。