作成日:2025/04/01
【BLOG】ジョブ型雇用の導入と就業規則の改定
ジョブ型雇用の導入における就業規則改定時に押さえるべき3つのポイント
2025年、多くの企業がジョブ型雇用の導入を検討しています。しかし、単に制度を導入するだけでは不十分です。適切な就業規則の整備が成功の鍵を握っています。
なぜ就業規則の改定が重要なのか?
ジョブ型雇用は、従来の日本型雇用(メンバーシップ型)とは根本的に異なる人事哲学に基づいています。従来型では「人」を中心に考えていましたが、ジョブ型は「仕事」を中心に据えます。この違いは、就業規則にも大きな影響を与えます。
ポイント1:ジョブ型の本質に即した就業規則への改定
<配置転換条項の抜本的見直し>
従来の就業規則には、「business necessity(業務上の必要性)」を理由とした配置転換条項が一般的でした。しかし、本来のジョブ型では、このような包括的な配置転換権は認められません。
具体的には
- 労働者の同意なしに職務を変更できない原則の明確化
- 解雇事由の厳格な再定義
- 配置転換を前提としない職務記述書の作成
ポイント2:賃金変更のルールを明確かつ透明に
ジョブ型における賃金は、職務と直接リンクします。
そのため、職務変更に伴う賃金変更のルールは極めて重要です。
➟注意すべき点
- 賃金テーブルの就業規則への明確な組み込み
- 職務ランクと連動した賃金体系の定義
- 賃金変更プロセスの透明性確保
➟要注意のケース
- 人事部内の内規のみで定められた賃金テーブル
- 従業員に十分に周知されていない賃金変更ルール
ポイント3:職務等級の精緻な定義
抽象的で曖昧な等級定義は、法的リスクを招く可能性があります。
<求められる等級定義の要件>
- 具体的かつ客観的な職務内容の記述
- 隣接する等級との明確な境界線
- すべての職務を一意に特定できる基準
※裁判例から学ぶ
東京地裁の判決では、抽象的で曖昧な職務定義が企業の不利につながった事例があります。職務の等級と内容を明確に定義することが、法的リスク回避の鍵となります。
