チーム力を最大限に引き出すための鍵は何か—。この問いに対する答えは、実は私たちが想像するよりもシンプルなところにあります。それは「失敗を恐れず、自由に意見を交わせる環境」を作ることです。実際、Googleが実施した「Project Aristotle」(プロジェクトアリストテレス)という大規模な労働改革の研究においても、高いパフォーマンスを発揮するチームに共通する最も重要な要素として「心理的安全性」が挙げられています。
では、なぜ心理的安全性がこれほどまでに重要なのでしょうか。それは、チームメンバーが新しいアイデアを躊躇なく提案でき、たとえ失敗しても非難されることなく、異なる意見や視点が尊重される環境こそが、イノベーションと持続的な成長の源泉となるからです。個人の背景や経験が価値として認められる環境では、メンバー一人ひとりが持つ潜在能力を最大限に発揮することができます。
日本の組織文化には、和を重んじる協調性や、細やかな気配り、長期的な関係性を重視するといった特徴的な強みがあります。しかし、これらの特徴が時として「同調圧力」となり、本音を言えない環境を作り出していることも事実です。この課題を乗り越えるためには、まずリーダーが率先して自身の失敗体験を共有し、部下の意見に真摯に耳を傾ける姿勢を見せることが重要です。
※オーセンティック・リーダーシップ(ありのままの自分をさらけ出せるリーダー)のほうが、部下は自分の力を発揮しやすい。
具体的な変革への第一歩として、チーム会議での自由な発言を促進し、建設的なフィードバックを実践することから始められます。さらに、挑戦を適切に評価する仕組みづくりや、失敗から学ぶ文化を醸成することで、組織全体の心理的安全性は着実に高まっていきます。
心理的安全性の確立は、単なるトレンドではありません。これはイノベーションの源泉であり、持続可能な組織成長の基盤となるものです。また、真のダイバーシティ&インクルージョンを実現するための必須条件にもなります。日本の企業が持つ”和の文化”を活かしながら、より開かれた対話を促進することで、グローバルな競争力を高めることが求められているのです。
勿論、このような変革は一朝一夕には実現できませんが、伝統的な価値観と新しい働き方を理想的に融合させることで、企業は独自の強みを活かしながら、より創造的で、且つ生産性の高い組織へと進化していくことがその歩みとなります。そして、この進化の過程こそが、企業の持続的な成長と従業員の幸福度向上の両立を可能にする道筋となるはずです。
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【新年のご挨拶】
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
村上社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 村上 茂

